第184回 トロンボーンの右手 ~4番ポジションでベルを持っちゃう~

トロンボーン奏者でアレクサンダーテクニークのかたさんです。

中学生くらいで多いトロンボーンあるあるですが、4番ポジション(人によっては3番)になると、右手の指で思わずベルを持ってしまう行為、思い当る人いますよね。

実は、私も稀にします。
これは、あまり良い事ではないと言われていますし、実際に私も生徒がしていたら注意をします。
では、なぜ良い事ではないのでしょう?

【右手でベルを持つ弊害を考える①】

よくある理由は、右手で楽器を持つと「スライドが曲がる」からです。
これは確かにその通りなんです。

しかし、これはあくまで「スライドで楽器を支えれば」です。
楽器の重みを、右手というよりスライドの特定のポジションでもってしまえば、その部分に楽器の重みがすべてかかりスライドを曲げる事になります。

しかし、今回は4番ポジション辺りに来た時に、右手の指で「ベルを持ってしまう」と言うことにクローズアップしています。
ベルを持つならスライドに重みはそれほどかかりません。

と言うことは、この行為は「スライドが曲がるから」という理由にはなりません。
じゃあ、どんな理由なんでしょう?

【右手でベルを持つ弊害を考える②】

もう一つ言われることは、トロンボーンの右腕(手)は、スライドを動かすのがメインの仕事ですので、特定のポジションでベルを持ってしまうと、スライド操作に影響があるからという理由もあります。

これは確かにそうの通りです。
トロンボーン演奏の右手(腕)の仕事は、メインはスライド操作です。
それを、楽器を支える事に使っては肝心のスライド操作がスムーズにいかなくなります。

でも4番ポジションでベルを持っている時は、スライドを動かしまくっている時ではないはずです。
そのポジションの音である程度長い音を吹いている時のはずです。

と言うことは、スライド操作が無い時にベルを持つ事はスライド操作に影響は少ないと言うことです。

となると、これもそれほど大きな弊害とは言えません。
では、右手でベルを持っていしまうことは、どんな弊害となるのでしょう?

【右手でベルを持ってしまう事が演奏の弊害になる理由】

右手でベルを持ってしまった時、その時に起こる身体の動きに注目してください。
右手はそのために動いているので、それ以外の部分です。

例えば左腕。
恐らく、力を抜いてるでしょう。
左腕は、楽器を支えることに多く使われるので、腕が疲れたり痛くなる人もいると思います。
その疲れなどを緩和したり、一瞬休むために右手で楽器を支えるのです。

これ自体時には、時には使っていいと思います。
冒頭に私も「稀に」と書きましたが、バストロンボーンはテナートロンボーンに比べると重いので、疲労までの時間も早く訪れます。
その時に、一瞬左腕を休めるため右手で持ったりもします。
もっとも、私の場合は1番ポジションの時がほとんどです。
4番ポジションでは、・・・したことあるかな?

これは、右手で持ったとしても音に影響が出る事がない楽器の支え方を理解した上で意識的に行ってるので大丈夫なのです。
ところが、中学生で多いこのあるあるは、ほとんど無意識で行っています。
その結果どうなるか。

先ず、左腕の支えが大幅に減ります。
左腕を休ませるためという意識がない時も、とにかく4番ポジションにきたら右手でベルを持つ事をしてしまうので、その度に左腕が楽をして楽器の支えが弱まってしまうのです。

すると、当然ですがアンブシュアーに影響しますよね。
左手の支えが一気に無くなれば、楽器は重力で下に下がります。
唇に対してのプレスも弱まり、マウスピースとの密着も減るでしょう。
すると音が悪くなります。

そしてこれを無意識にしていると、演奏にとって更に良くないことが起きます。

【姿勢にまで影響が】

4番ポジションでベルを持つのを習慣的にしている人に多い特徴があります。

ずばり、それは姿勢です。

動きとしては、背中側の肋骨を腰辺りに落とすような動きをみんなします。
これは、楽器が下方向に下がることで、それに口を合わせに行くために起こると思われます。

背中側の肋骨を腰辺りに落とす動きとは、胸や顔を後ろに引き、胸骨がお腹より後ろに行ってしまう動きになります。
顔を後ろに引くので、顎が喉を押し潰すような格好にもなります。

つまり、身体が全体的に後ろ下方向に縮むのです。
もう言わずもがな、これは呼吸にモロ影響します。

4番ポジションでベルを持ってしまう、その音が「パゥー」と細くなってしまうこと、経験された方多いのではないでしょうか。
それは、そのために姿勢が影響を受け呼吸をしづらくしたためです。

高々この程度の行為が、音に大きく影響を与えてしまうのです。
それに、ベルに指を添えると、どうしてもそのポジションが固定されます。
トロンボーンのポジションは、音によって少しずつ場所が違います。
その差は、音によっては最大数cmにもなります。
それを毎回ポジションを同じ場所に固定してしまっては、当然音程も悪くなりますよね。

音も音程も悪くなれば、しかもそれが姿勢からくるとなれば、調子を崩してしまう事にもなりかねません。
そして一応つ加えておくと、①②の弊害も全くないわけではありません。
無意識での操作には、色々と問題が起こることが多いのです。

たかが右手、されど右手。
そして姿勢と音。
全て繋がっています。
ちょいと意識を向けてみましょう。

姿勢と音のつながりを学ぶワークショップ情報は、この下に有ります。
ぜひご参加ください!

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