トロンボーン奏者でアレクサンダーテクニーク教師のかたさんこと片山直樹です。
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先日、非常勤講師を務める高校のアンサンブル授業でのことです。
もちろん、換気や除菌を施して行っていますよ。
初めに、音出しがてらメトロノームテンポ=60でB dur全音符で吹いてもらいました。
その後、テンポを66にして同じ調、同じ全音符で吹いてもらいました。
すると、一回目より音程が合いませんでした。
それについて「なんでだろうね?」という問いをかけ、その違いを考えてもらいました。
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【ちょっとの差】
テンポ60と66は、振り子式メトロノームだと2メモリ程度で、聴こえ方の速度変化はほとんどありません。
このちょっとの差がミソでした。
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みんなは、聴こえてくるテンポの違いをほとんど変わらないと感じており、その感じで吹いたので、息やテンポ感が追い付いていなかったようです。
テンポが「ほとんど変わらない」と感じていても、実際はほんのわずか速くなっているわけです。
この変化はちょっとの差ですが、これが演奏のテンポを狂わせ、音に影響を与えていました。
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【a little と little 】
音量や速度は「little」を用いる不加算名詞なので、加算名詞用の「few」で英語の授業風に例を出しました。
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持っているCDの数を2人の人に聞きました。
2人の返事はこうです。
I have a few CDs. 私はCDを少し持っています。
I have few CDs. 私はCDをほとんど持っていません。
それぞれ持っている枚数を聞くと、2人とも2、3枚という返答でした。
2人とも持っている数は同じなのに、答え方が「少しある」「ほとんどない」という正反対の答え方でした。
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これを例にとって話したのですが、テンポを上げたことは知っているはずなのに、みんなは耳で感じたテンポに変化が感じられなかったことから「ほとんど変わっていない」と判断したことが、先ほどの音程がハマらない結果を生んだようです。
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【わずかでも変化している】
「ほとんど感じられなくても、テンポが変わっていることとを意識の中に入れてもう一度吹いてみよう」
littleというネガティブな形容詞と、a littleというポジティブなものとの違いです。
「ほとんど変わらない」を「少し変わっている」という意識に変えてもらって再びB♭ durを吹いてもらったところ、「音程が合わせやすかった」「このテンポ(=66)が、さっきより速く感じられた」など、良くなったことだけでなく、その時感じたこと、つまり感性にまで変化をももたらしました。
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わずかでもテンポが変われば、吸う息の速度やタイミング、吐く息やタンギングの速度も変わります。
ほとんど同じに感じても「少し変わる」か「ほとんど変わらない」では、結果が大きく違ってきたことが今回の実験でわかりました。
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僅かな変化だと「ほとんど違いがない」となりがちです。
特に、ほんの少し良くなっただけだと「こんなの上手くなったうちに入らない」なんてしてしまいがちですが、実はちゃんと変化していますし、上達しています。
この変化や上達を認めることが、先ほどの授業のように大きな変化へと繋がるのです。
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♪♪ レッスン動画公開! ♪♪
私が非常勤講師を務める浜松学芸高等学校の授業の一環で、動画撮影をしました。
通常に比べかなり短い時間ですが、私のアレクサンダーテクニークレッスンが見られます。
「片山はこんなレッスンするんだ」という参考にしていただければと思います。
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