第231回 生徒さんの愛ある望み 

トロンボーン奏者でアレクサンダーテクニーク教師のかたさんこと片山直樹です。

楽器や音楽を続ける意味は人それぞれ。
「楽しい」「好き」だけでない理由もあるのです。

先日、風呂の中で望みについて考えていた時、かつてレッスンに通ってくれた女性のことを思い出しました。

【この曲が吹けるようになりたい】

もう10年以上昔の話です。

私が今でもレッスンをしている愛知県西尾市にある中善楽器さんの教室生徒として、私よりおそらく10歳以上年上の女性がレッスンに来ました。

トロンボーンを上手くなるという目的ではなく「この曲が吹けるようになりたい」という、とても限定された望みでした。

トロンボーンを吹いたこともなく、音楽もほとんど学んだことのない方です。

それでも音楽が好きで、機会あれば楽器などをしようと思っていてある程度年齢がいってから始める、そういう人もいます。

ですがこの方はそうではなく、「息子が吹かなくなったトロンボーンで『きよしこの夜』を吹きたいから教えてほしい」とのことでした。

【曲さえ吹ければいい】

曲が吹けるようになるには、トロンボーンの音の出し方やスライドの動かし方、ポジションや倍音と音との関係をある程度学んだり練習する必要があります。

楽譜の読み方も知る必要があるでしょう。

この方のレッスンでも始めて数回はそういう奏法的なレッスンをしましたが、この方はそういうことよりも「曲が吹けるようになりたい」目的でした。

今の私ならばそういうレッスンをすることもできますが、当時まだ若いプレイヤーだった私は、この手のレッスンが好きではありませんでした。

「とりあえずできればいい」的なものものに対し拒否感すらあったのです。

この方の場合、そのような軽薄な物言いではありません。
意思をもって「曲を吹きたい。これが吹けるようになればいい」と言っていましたが、私の中にはやはり拒絶感がありました。

ある程度いい音が出るようになってからでもいいのでは?と提案しましたが、答えは一緒でした。

それほどこの曲が好きか、よほどの思い入れがあるのか。
なぜそれほど曲を吹きたいか、聞いてみました。

すると、そこには確固たる目的と理由がありました。

【息子に届けたい】

息子さんが吹かなくなったトロンボーンを自分が吹く、ここにその理由が隠されていました。

この方がレッスンに来る数年前に、息子さんは脳の病気で亡くなっていたのです。

この方の望みは、

「天国にいる息子に、生前息子が演奏する予定だった『きよしこの夜』を自分が演奏して届けたい」

だったのです。

自分の息子を亡くした悲しみで、一時期は落ち込み何も手につかなかったこともあったが、そんなことばかり言ってられないという現実と、自分がトロンボーンを吹くことでできることを見つけたそうです。

「曲が吹けるようになればいい」という言葉の裏側にある理由は、息子さんの望みを自分が叶えたいというものでした。

音楽や楽器が好きという理由以上に明確で、愛のある究極の望みだと思いました。

それ以来、その生徒さんには音色向上目的の奏法的なことは優先順位の一番から外れ、楽譜の読み方、音符とスライド位置と音程、音楽的な演奏の仕方や歌い方がメインになりました。

数か月通ったのち、ご自身の中で満足が行くきよしこの夜ができるようになったのでレッスンは終了しました。

この方の望みに対して必要なレッスンは、私が大切だと思っていたこととは限らなかったのです。
これは今ならわかります。

常々、生徒さんとのレッスンで本人の望みについては細かく見ているのですが、10年以上前にこういったことに出会っていたのです。

素晴らしい体験をくれたこの生徒さんに感謝。
出会いというのは宝物ですね。

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