第232回 教室で大きな声を出さずに生徒に声を届けたい先生へ その1 ~体は共鳴体~

トロンボーン奏者でアレクサンダーテクニーク教師のかたさんこと片山直樹です。

【教室で子供たちに声を届けるために】

COVID-19の影響で、人と話すのに距離を空けたり大声は控えるなど、これらが新たな対人マナーとなりました。

学校先生たちも教室の前で授業をするのに、これらに気を付け様々な対策をしておられることと思います。

でも、マスクやガードをした状態だと、どうしても声の通りは悪くなります。

幸い、子供たちも声を発することを抑えているので、昔のようにずっとざわざわしていることは少ないかもしれませんが、換気のため常に外の音が入り込んでいて、時にはそれが騒音に近い場合もあるでしょう。

かといって、大きな声を出すこと自体制限のある現状、どのようにしたら生徒や児童たちに声が届きやすくなるでしょうか。

これに関して、アレクサンダーテクニークを使い、

・声が通りやすい体の使い方
・相手がこちらの声を受け入れやすい状態にする

この二つの面からアプローチしてみます。

まず今日は一番目の声が通りやすくなる体の使い方です。
元々大きな声が出にくい方にも使えると思います。

【共鳴体① 副鼻腔】

少し体の構造知識についてお話します。

声というのは、のどにある声帯で作られます。
声帯より下にある肺から空気が通り抜ける時にそこが振動し、それが声となって口から出ます。

この辺りは皆さんご存じですよね。

口から(あるいは鼻から)声が出るのはその通りなのですが、頭蓋骨内では声帯から出た声(音)が共鳴もしています。

共鳴する場所も色々あり、有名なのは鼻の奥にある空洞、鼻腔です。
ハミングをすると、鼻の奥がむずがゆくなるときありますよね。
これは鼻腔内で音が共鳴し、振動しているからです。

他にも共鳴する場所はあり、実は頭蓋骨の中にもいくつかあります。
それらは副鼻腔と呼ばれ、鼻腔近くにある骨の中にある空洞のことです。

顔の骨の中に空洞があるんですね。

「前頭洞」「蝶形骨洞」「篩骨洞」「上顎洞」の四つがあり、よく知られていることとして、これらに膿がたまる病気が蓄膿症や副鼻腔炎と呼ばれるものです。

これらは空洞なので、音がこの中で響きます。
声楽家は、この原理を利用して、いわゆる「よく通る声」を出しているのです。

【共鳴体② 頭蓋骨】

頭蓋骨というと一つの骨の固まりにも見えますが、実はいくつかの骨の集合体です。

たくさんありますね。
それぞれの細かな説明は省きますが、ここでお伝えしたいことは、骨自体そして骨同士も振動し共鳴するということです。

いくつかのパーツでできているので、それぞれくっついている部分は継ぎ目があります。

それぞれの骨が振動し、継ぎ目でその振動が伝わりやすくすれば、頭蓋骨での骨振動は増幅され、頭蓋骨そのものが共鳴体となります。

ということは、顔や頭の筋肉がギュッと縮まっていれば、これらの振動は生まれにくくなり、それでも大きな声を出そうとするとガ-ッとがなり声にしないと出ません。

怒ったときに出る大声は、顔の筋肉が収縮していて頭蓋骨が振動できない状態なので、がなり声じゃないと出ないのです。

そうじゃなく声を届けるには、顔や頭が振動しやすい状態にする必要があります。

【頭蓋骨を共鳴しやすくするには】

かなり古いですが、興味ある論文を見つけました。

これは、声楽家で島根大学の名誉教授であった森山俊雄先生(1922 – 2013)が書かれた、昭和38年に島根大学紀要に掲載された論文です。

内容は、当時頭声※が一辺倒で、胸声が悪いものとされていた時代でしたが、森山先生は様々な研究により胸声を利用することのメリットについて書いてあります。

※頭声、胸声
声種と声域(声区)としての意味があるが、ここでは声種としての意味。頭声では声帯を薄く引き伸ばす力(甲状輪状筋等の伸展筋)が強く働き、胸声では声帯を厚く強く触れ合わせる力(声帯筋)が働く。これにより、頭声は頭が、胸声は胸が響く(振動する)ことでこういわれる。ゆえに、声域(声区)として頭声は高音、胸声は中低音と言われる。

時代が時代なので現代の理論には合わない部分もあるのですが、私が興味を持ったのは、

「頭蓋骨共鳴振動は、胸壁共鳴振動よりははるかに大きい。しかし面白いことに胸声の場合の方が頭声よりはより頭蓋壁が大きく振動する」

この部分でした。

頭が響くようにするには、頭を響かせることを意識するだけでなく胴体の使い方(先生は横隔膜や体腔の共鳴)が重要と言っています。

・・

頭蓋骨が振動しやすい状態にすれば、頭蓋骨内にある空洞で共鳴がしやすくなるし、振動の骨伝導もできやすいです。
それには、頭が動きやすいような状態にするため首や顔が自由であること。

そしてもう一つが、先ほどの森山教授の論文にある胴体の方の使い方です。

これが、わかりやすい言葉で言うといわゆる姿勢というものになってくるでしょう。

【姿勢=体の使い方】

この姿勢ですが、一般的に言う「よい姿勢」というような漠然としたものではありません。
森山教授は「横隔膜共振 → 全身共鳴」とかいていますが、横隔膜共振させることを意識しても、なかなか難しいと思います。

ここで大事なのは、それを意識するよりもそれが起こる体の状態にしてあげればいいのです。
そういう状態を「いい姿勢」というのでしょう。

ここでいう「いい姿勢」とは、その時々に応じた体の使い方ができる状態のことです。

【身体全部が使いやすくなる】

アレクサンダーテクニークの創始者であるFMアレクサンダーは声が出なくなりましたが、自身への探求を深め、以前よりもいい声になって戻ってきました。

そこで彼に着けられたあだ名は「呼吸の人」です。

いい呼吸ができる体の状態を発見したことにより、こう呼ばれるようになりました。

体への押し下げをなくすことで肋骨や横隔膜が動きやすくなり、体への負担が著しく減ったことにより声もよく出るようになるし、呼吸の改善が精神的な負担や不安も減らしてくれるようになったのです。

何度も書きますが、姿勢とは、決まった型や形ではなく身体が使いやすい状態になることです。

大きな声の出せない現在、体の使い方をよくすることで体全部が共鳴体として響いてくれれば、広い教室といえ、先生方の声は隅までよく届くでしょう。

これが楽に声が出ると言うことです。

そんな身体の使い方を学ぶ講座は、9月27日にあります。
是非ご参加ください。

次回ブログは、アレクサンダーの発見が受け手側(今回の例でいうと生徒さん側)に与える影響をお話しします。

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