第278回 演奏の概念と体の動き ~個人重奏コンテストからの感想~

トロンボーン奏者でアレクサンダーテクニーク教師のかたさんです。

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冬のこの時期は、個人重奏コンテストがあります。

夏が吹奏楽コンクールなら、冬はソロとアンサンブルの時期です。
そのため、ほぼ毎年審査員をさせてもらっています。
今年も、愛知県内の地区大会を2地区3日間させていただきました。 

大人数の吹奏楽と違って、個人重奏コンテストは、個々の動きが良く見えます。
音楽的にも個性が現れて、私は冬のコンクールは楽しみも多く、実は毎年依頼が来るのを楽しみにしています。 

先ほども書きましたが、今年も審査をさせていただいて、色々勉強になりました。
その中で、もっと改善できることがあるのではないかと気づいたことNo1は、脚の使い方でした。  

【身体の使い方・動き】

演奏において、姿勢は重要であるという「概念」は、皆持っていると思います。
その「概念」と実際の動きや姿勢が、スポーツの世界と異なり、実は演奏の世界は矛盾が起きています。 

スポーツにおける姿勢が、その結果を出すために科学的に研究され、しかもそれが選手個々人に上手くハマるよう、それを伝えるコーチング面でも常に進歩しています。 
それに対し音楽の演奏については、例えば姿勢という言葉一つとってもどこか漠然としたものが多く、元々上手くできてしまった傑出した演奏家によるその人個人が納得できる言い回しや感覚的な言葉は伝えられても、科学的な根拠のある体の使い方はあまり浸透していません。

 むしろ、「音楽性」という言葉の方がフィジカルな面よりも優先され、反対にフィジカルなことを話すのは『音楽的なことが上手くできない言い訳』のように扱われている節も感じたことがある人もいるのではないでしょうか。 

素晴らしい感性を持った音楽家の「音楽性」を生かすのは、それを表現できる体の使い方があるからで、そこは密接な関係であるべきでしょうし、その結びつけを研究する必要は必然的にあります。 

さて、話が堅苦しくなりましたが、今回(毎回と言えば毎回ですが)審査をさせてもらい、特にそういった体の使い方で気になったのが「脚」でした。  

【脚】

ソロやアンサンブルでは立奏が多いのですが、脚を立つ為だけに使っている子がほとんどでした。
つまり、脚が演奏に参加していない子がとても多かったのです。 

私は、演奏中に動くことを推奨しています。
それは、ただ体を動かすことを目的にしているのではなく、全身が演奏に参加することを意味しています。

そして、体を動かす、使うというと、動いているのはほとんど上半身だけで、脚は動いていないことも多くありました。

脚が演奏に参加できないのは、根本的にその「概念」がないからでしょう。 
脚というのは、呼吸とも密接な関係があり、これは脚の使い方が管楽器の奏法に大きく影響することに繋がります。

これは単に体の構造の知識を意味します。
しかし、先ほどの「概念」は、知識として体の使い方を知る知らないの問題ではありません。  

【PlayとPerformの違い】

根本的な部分になりますが、どうもこのコンテストにおいて参加する子供たちには「演奏する」という意識が、概念のレヴェルで乏しいように感じます。
どうしても「吹く」になってしまうのです。 

「良い演奏をする」という目的はあると思います。
しかし「いい演奏を誰に届けるか」、また「何のためにいい演奏をするか」の部分がコンテストでは要素として少なくなってしまうのでしょうか。
もしそうなら、パフォーマンスの概念が少なくなっていることは当然でしょう。 

確かに、入学して夏のコンクールに出なかった1年生はこれが人前で演奏する始めての機会かもしれないので、緊張などもあるでしょう。
しかし、それだけではないように見える部分は多かったです。

 Performとは演ずること。
役者さんがであれば、全身を使って演技することです。
演奏であれば、同様に全身を使って表現すること。
そういう意味で、私は動くことを推奨しています。 

その動きが乏しいということは、演ずることへの意識や概念そのものが乏しいとも言えるのではないでしょうか。 

脚が使えていない子のほとんどが、両足がそろっています。
これは、そもそも動くための準備が出来ていないことと同じで、動こうとする意思や概念が演奏することの中に入っていないとも言えます。 

楽器を人前で吹くということは、当然ながら聴いている人が必ずいることが前提であり(たとえ動画や無観客っであったとしても)、その前提がある以上それは常に意識の中に入れる必要があります。

例えばですが、緊張のためそれを意図的に忘れようとしたり考えないようにしたりする人がいますが、それは緊張から逃れるための手段で、演奏の目的ではありません。
むしろ演奏からかけ離れた行為をしようとすることであり、当然体はその矛盾に当惑します。
その結果、演奏しずらい姿勢となったり体に負荷をかけることになります。 
これでは良い音は出せません。 

良い音を出すには、ただ楽器を吹く《Play》だけでなく演ずる《Perform》ことであると認識することが必須でしょう。
この意識や概念を子供たちに教えることで、それに見合った視野の広がり、体の動きが生まれ、結果的にいい演奏に繋がるのではないかと、今回の審査を経て感じたことでした。

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